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Cute Movies

東京マリーゴールド

監督:市川準

林真理子の短編小説「一年ののち」が原作のこの映画は、
代官山や恵比寿といった東京のおしゃれな街を舞台に、
21歳のエリコが期間限定の恋愛をした1年の間の心の葛藤と、
そこから精神的にステップアップしていく様子を描いた物語。

付き合っていた彼と別れてから、何となくむなしくて
物足りない毎日を過ごしていたエリコ。
バイク便の仕事から代官山のきれいなオフィスでの
優雅な事務の仕事へとアルバイトも変えてみるが、むなしさは変わらない。

そんなある日、エリートサラリーマンとの合コンで、エリコはタムラと知り合う。
エリコからデートの誘いを受けたタムラは、喜んで応じる。
だが、タムラにはアメリカに留学中の彼女がいた。

「恋人いるの?」
「いるよ・・・。このトシで普通の男だったら、たいていいるんじゃない?」

エリコは、彼女が戻ってくるまでの1年間という期限付きで、
タムラとつきあうことになる。
必ず終わりがくる、いつも彼女の影がチラチラするつらい恋愛に、
エリコは彼の前で取り乱し、「彼女と別れて私だけ好きになって」
と訴えるが、タムラにその気は全くないのだ。

そんな葛藤を乗り越えて彼の元を去り、
一皮むけるエリコを田中麗奈が演じる。

彼女いつの間にこんなに綺麗になっちゃったんだろう、とビックリした。
去年までは、主張の強いマユゲが印象的な女の子、
というイメージしかなかったのだが、
今年に入って急に大人びた
雰囲気になったように思う。

タムラを演じるのはミュージシャンの小沢健二の従兄弟でもある
小沢征悦(おざわゆきよし)、チョット濃い顔の俳優さん。
でもこの映画は“田中麗奈の映画”という印象が強いかもしれない。

私が印象に残ったのは、タムラの部屋で初めて2人が結ばれるシーンだ。
いまどきの映画やドラマは、そんなシーンはかなりハッキリと“ヤってる”のが
わかる演出が多い。

この映画では、ベッドの上で絡み合わせた2人の手だけの演出で、
それを匂わせる。
巷にあふれる性表現には誰でも食傷気味と感じる事があると思うが、
だからこの映画での演出に新鮮味を感じるのかもしれない。

田中麗奈の映画と書いたが、誰でもが20代の前半といえば、
本当の自分を隠して、他の人と比べて少しでも大人に、クールに、
おしゃれに見せようとして、
あっぷあっぷしていた年頃だったのではないかと思う。

その頃の自分と、期限限定付き恋愛につらくなっていくエリコの
切なさを重ね合わせてこの映画を観ていると、当時の自分が
懐かしく、いとおしく思えてくるのではないだろうか?

この映画の題名であり、エリコが自分の恋愛と重ね合わせてみている
フレンチ・マリーゴールドという花は、キク科の1年草。
花言葉は「嫉妬」「大人びた配慮」。

6/15(金)までは、渋谷:渋谷シネパレスにて。
6/23(金)から、銀座:銀座シネパトスにて、上映される。

text by...  ris

2001/04/30